gibsonのエンジニアブログ

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【初心者向け】自動運転の基礎知識として知っておきたいこと!【後半】

皆さんこんにちは、エンジニアブロガーgibsonです。

 

今回お話するのは、近年自動車産業などでよく耳にする「自動運転」についてです。特に今回のブログでは自動車運転の知識の中でも、これから自動運転について学んでいきたい方や、自動運転に興味がある方向けに、難しい技術やワードなどではなく

自動運転の概念として、これを知っておくといいかも

といった初心者向けの内容になります。

 

以下、今回のブログの内容の目次となります。

 

  • 自動車運転とは 
  • 自動運転の現状 前半までの内容となります。
  • 自動運転の実現方法
  • 自動運転の課題
  • 自動運転の今後 ←後半では最後までご紹介します!

 

また、今回のお話は前回のブログの続きで「後半」となっていますので、まだ前回の内容を見ていないという方は先に下のリンクから「前半」を見ていただくことをおすすめします。

gibsonhobby.hatenablog.com

 

 それでは初めて行きましょう!

 

・自動運転の実現方法

 前回のブログでは自動運転の現状にて、レベル3の自動運転自動車がリリースされそうであるというところまでお話ししました。そして、自動運転の基本的な開発については「すでに完成している」というのが自動車メーカーの意見です。

 というのも、自動車がレベル5クラスの自動運転を行うためには、私たちが普段自動車を運転するときと同じような「認知」と「判断」という運転プロセスを自動車自身で行う必要があります。

 では、自動運転に必要なそ「認知」と「判断」とはどのようなことを行うのかについてお話していきます。

 

・「認知」

 私たちが自動車を運転しているときは常に前方の視界から道路状況や車両情報、人が歩いていないかどうかなどの情報を入手しています。

 また、自動車を運転しているときに「今どこを走っているのか」という現在位置の特定(自己位置推定)も認知プロセスの一環になります。

 

 例えば、「信号が赤になった。」や「横断歩道に人が歩いている。」、「信号が青に変わったが、前方の自動車はまだ発進していない。」のように、普段私達が運転を行う際には様々な情報を基本的に目を通して入手し、その情報を元にどのように自動車を運転するのかを「判断」しています。

 さらに、「〇丁目の交差点を通過したので、次の交差点で右折する。」という位置情報も同時に入手しています。

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(引用:https://www.irasutoya.com/2018/09/blog-post_40.html)


 

 つまり、「認知」とは自動車を運転する際の動作決定、判断を行うための情報を集めるプロセスとなります。

 

 自動運転を行う際は当然、この道路状況などの情報はドライバーではなく、自動車自身で入手しなくてはいけなくなってきます。その際に使用されるのが、「カメラ」や「センサー」などとなってきます。また、自動運転には5Gの高速通信を用いた通信機能の向上によって、「他の自動車や街中のカメラやセンサー、信号機」などと通信を行い連携して情報を入手するようになります。

 これらの自動車の通信に関してはCASEの「C(コネクテッド)」の分野にあたります。

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(引用:https://www.irasutoya.com/2015/06/blog-post_46.html)

 実際カメラを用いた道路状況の認知に関してはレベル2程度の運転支援システムにおいて自動車の前方や後方、あるいはドアミラーにカメラが搭載され、そのカメラによって周りの状況を認知することで走行レーン変更支援や駐車支援などを行っています。

 自動運転を行うためには自車の位置を特定する必要があると先ほど述べました。一般的に皆さんが想像するのはGPSによる情報に基づいた自己位置特定だと思われます。

 

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(引用:https://www.irasutoya.com/2016/03/gps.html)

 

 しかし、GPSには数mから数十mの誤差が生じる可能性があることと、通信状況の悪いところでは正確な位置を測定できないという欠点があります。その欠点を補うために、センサーを用いた自己位置推定を行います。その時に用いられるセンサーを「LiDAR(ライダー)」といいます。

 

 上記にAmazonで簡単に探したROSなどのロボットに使用されるLiDARのリンクを添付させていただきました。 このようなレーザーを用いたセンサーが自動車の上部に取り付けられています。ちょうど先ほどのいらすとやの挿絵みたいな感じになっています。

 そして、このLiDARでは赤外線などのレーザーを用いた「3次元情報」の入手が可能となります。3次元情報とは「周囲の建物や道路の起伏、前後の車両や対向車両」などといった周囲の状態を含んだ地形情報、3次元地図のこととなります。

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LiDARを用いた3次元情報によって生成された3次元点群地図(引用:https://tools.tier4.jp/)

 LiDARにより自車の周辺の3次元情報を入手し、その情報とあらかじめ作成された3次元地図とを比較し、一致した箇所の中心に自車がいると推定することで自己位置推定を行うことができます。

  下にロボットの自己位置推定を行ったmathworks社の参考動画を掲載しておきます。興味のある方は一度ご覧になってください。

jp.mathworks.com

 

・「判断」

 「認知」のプロセスで得た道路状況や、進路の状況をもとに自動車をどのように走行させるのかを決定します。

 

 さきほど「認知」のプロセスで少し触れましたが、例えば、「信号が赤になった。から、ブレーキをかけ自動車を停止させる。」や「横断歩道に人が歩いている。から、ブレーキをかけ横断歩道の手前で停止する。または、徐行する。」というように、「判断」のプロセスでは「認知」のプロセスで得た情報をもとに「どのように自動車を操作するのか」を決定する必要があります。

 

 しかし、一言で言ってもこの判断は僅かな道路状況の違いで異なる判断をしなければならない事があります。

 つまり、一問一答のように「このときは絶対こうしなければならない。」というような方程式が例外となるイレギュラーな対応を行わなければならないときが出てくるのです。

 

 このような複雑な判断について、すべてプログラムでロジックを組み、すべての判断パターンを網羅する事は不可能に等しいです。そのためこのような判断には「AI」を用います。様々な自動車の過去の走行データなどを集めた「学習データ」から、現在の道路状況などに最も適した走行をリアルタイムで判断します。このように様々な過去のデータを「教師データ」として、それをもとに今回のパターンではどのようにするのが最も適切かを判断する学習方法を「機械学習」や「深層学習(ディープラーニング)」などといいます。

 

 以上の2点が私達の自動車の運転と「自動運転」の違いとなります。

 

 「認知」と「判断」のプロセスについてまとめると、「認知」では「カメラ」や「センサー」のような周りの情報を入手し、得られた画像データに何か映っているのかを「AI」を用いた画像認識を行うことで「人」や「信号」、「車両」などを検出します。

 さらに「判断」では「目的地までの進路」、「認知で検出した道路状況」などの情報を元に自動車をどのように操作するのかをコンピュータが決定します。

 

 そして、これらの各プロセスの開発についてはすでに完了しているのです。現在は開発から改良の段階にステップアップされ、より確実に認知を行い、より正確な判断が行えるように画像認識や機械学習の研究が進められています。

 自動運転業界への就職、転職を考えておられる方は画像認識や機械学習に対する知識を持っておくといいと思われます。

 

・自動運転の課題

 自動運転を実現するための準備はもう完了と言ってよいところまで来ていると思います。 

 しかし、実際に自動運転が身近になるのはまだ少し先のようです。その原因として二つ挙げられます。

 

・「道路などの外的要因」

 まず一つ目が「道路」です。まず前提として自動運転を行うには先ほど説明したように「認知」と「判断」を行う必要があります。

 しかし、その「認知」を行うためにカメラやセンサーを使用するのですが、日本の道路で車線の誤検出が起きにくいような見通しが良く道路幅が広い綺麗な道路は高速道路のような高規格道路のみであり一般道では場所によって道路の状態が悪いことから認知が正確に行えないような場所も存在します。また、自動運転の試験を一般道で行うとなると周りに一般の方が運転している中で「安全」を確保した試験を行わなければなりません。日本の道路の綺麗な都市部では交通量が多く、逆に地方の道路では道路状態が悪いためなかなか自動運転の試験を行える環境がないのが現状となっています。

 中国などの国土の広い海外では、自動運転を試験するための土地が広大であるため、自動運転の試験データがとりやすく、その試験データをもとに機械学習を行うために自動運転の精度の向上が行いやすいのです。

 一方日本では先述した道路状況などからなかなか自動運転の試験データがとりにく炒め、諸外国と比較して自動運転の技術の向上が進みにくいという現状があります。

 

・「認知と判断の精度」

 もう一つの要因は、自動運転の精度そのものにあります。現在カメラやセンサーを用いた画像認識の精度の向上に関して様々な研究などが行われ、その制度は非常に高くなってきています。

 しかし、自動運転の際には時速数十キロで走行している状態の画像を用いて正確に道路状況や障害物の検出を行い、さらに人の安全を確保するためにその制度は100%でなければならないと考えると、まだ画像認識の精度が十分に高いとは言えません。

 

 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

 上記に実用化された無人自動運転タクシーとホンダのレベル3の自動運転自動車に関する動画のリンクを掲載させていただきました。

 やはり、自動運転を行うことができる状況に制限があり街中や渋滞などの低速走行のみに対応しているようです。

 

 以上より、道路状態やカメラやセンサーの検出精度が完全自動運転を実現するための課題となっていることがわかります。

 

・自動運転の今後

 先ほど動画のリンクを貼らさせていただきましたが、確実に自動運転が身近な存在になる日は近づいてきています。

 2019年には道路交通法が改正され自動運転自動車が公道を走行してもよくなりました。(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/selfdriving/trafficact.pdf,参考:自動運転|警察庁Webサイト)

 

  今後は都市部と高速道路など限定で自動運転が普及していくと思われます。先ほど説明したようなLiDARを用いた自己位置推定にはあらかじめ3次元地図がなければ、自己位置推定が行えません。そのため、全国で自動運転を行うためには地図データの生成が必要となります。まずは都市部や高速道路の3次元地図から生成されていくと思うので、地方で自動運転ができるようになるのはそれからになると思います。

 また、自動車同士の通信や信号との協調制御を行うための5G環境の整備、自動車がカメラやセンサーから入手した機械学習の教師データとなる莫大な情報を集めるためのクラウド、サーバーの準備、車両通行帯が引かれた道路の整備など自動運転を行うための環境構築が必要となってきます。これらの環境が整って初めて完全な自動運転が私たちの身近になってきます。

 また、今後は今までバスやタクシーなどでしか交通手段のなかった地方の方向けの自動運転による交通サービスが展開され、近年問題となっている公共交通機関の運転手不足、および高齢化への解決策となります。

 これらの従来の公共交通サービス以外の「新たな交通サービス」が続々と展開され、「自動運転」のほかに「カーシェアリング」や「自動車乗り合いサービス」のような今までの交通手段に新たな選択肢が増えてきます。

 このようなサービスのことを「MaaS(Mobility as a service)」といい、自動運転業界と同じぐらい注目されている業界となりますので、ぜひ一度調べてみてください!

 

japan.cnet.com

・まとめ

 今回は自動運転のお話ということで、お話の内容が非常に盛沢山となってしまいなかなかまとまらないブログとなってしまいましたが、何とか自動運転の現状などについてお話しできたかなとおもいます。

 

 まとめとして、自動運転は現状レベル3までの製品化ができており、自動運転についての開発については完成しています。

 完全な自動運転を実現するためには「認知」と「判断」について100%の精度で実行する必要があり、そのためにはカメラやセンサー、AIの精度の向上が求められます。さらに、道路や通信インフラの整備などを実施する必要があります。

 

 今日本は「自動運転事業」を国のプロジェクトとして国主体で実現に向けて取り組んでいます。自動運転を実現するための障害は様々ありますが、実現自体はそう遠い未来の話ではないと思います。さらに、MaaSと呼ばれる新たな交通サービスの展開も始まり、今後移動手段の選択肢として非常に多くのカードが用意されるようになってきますのでぜひ皆さんも今後の自動運転の展開にご注目ください!

最後に

 ここまでブログを読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

 

当ブログでは、新卒1年目のエンジニアが個人的に勉強したことや趣味の話などをご紹介しております。

 

この記事を読んで、もし当ブログにご興味をお持ちいただけましたら是非また当ブログをご利用ください。

当ブログをご利用くださいまして誠にありがとうございます。

それでは皆様、本日もお疲れ様でした。