gibsonのエンジニアブログ

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【初心者向け】どうして自動車は走るのか【トランスミッション編】

 皆さんこんにちは。エンジニアブロガーgibsonです!

 

 今回のお話は、以前投稿した「どうして自動車走るのか【エンジン編】」の続編となる「トランスミッション編」です。

 前回のお話では自動車がエンジンから動力を得ていることについてお話させていただきました。

 今回ではそのエンジンから得た動力を用いてどのように自動車を駆動(タイヤを回すこと)しているのかについてお話させていただきます!

 

 今回のブログの構成は以下のようになります。

 

 

 それでは始めて行きましょう!

 

前回のお話はこちらのブログを見てください!

↓↓

gibsonhobby.hatenablog.com

 

1.トランスミッションとは

 まず最初にトランスミッションとはどのようなものなものなのかについてお話していきます。

 トランスミッションとは「transmit(〜を送る、〜を伝える)」の名詞となり「伝達」という意味となります。

 

 自動車においてトランスミッションの役割とは文字通り伝達を行うことなのですが、トランスミッションが伝達するのは「動力」になります。

 トランスミッションエンジンで発生した動力をタイヤに伝達する働きの一端を担っています。

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駆動力の伝達の方向

 さらにトランスミッションの役割としてもう一つ重要なのが「減速増トルク」と「増速減トルク」です。

 まず、このトルクについてご説明していきたいと思います。

 

2.トルクとは

  トルクとは、軸などの回転体の回転方向へ作用する力のことです。

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  また、自動車ではトルクの単位は(N-m)で表記されることから、「回転体に作用している力の大きさと回転中心から作用点までの距離の積」と表現することもできます。

 前回のエンジンの記事でもご紹介したように、エンジンで発生した力はクランクシャフトと呼ばれる回転体によって回転する力に変換されます。そしてこの回転する力が最終的にタイヤに伝達されることで、タイヤが回転するようになっています。

 

 このトルクが大きければ大きいほどタイヤは強く駆動し自動車を前へと進めますトランスミッションはこのトルクが非常に重要になってきます。

 

3.トランスミッションの役割

 トランスミッションはトルクをタイヤに伝達するだけでなく、トルクを増加させたり(増トルク)逆にトルクを減少させる(減トルク)代わりに回転数を増やす(増速)する役割があります。

 トランスミッションには様々な種類があります。現在はシェア率が90%以上となっているAT(オートマティックトランスミッション)やCVT(無段変速機)、非常にレアな存在となってしまったMT(マニュアルトランスミッション)などがありますが、それらはすべてギアと呼ばれる歯車(CVTは機構上歯はありませんが笑)を組み合わせて構成されています。

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歯車の組み合わせのイメージ図

  ギアと呼ばれる歯車を組み合わせることでどのようにトルクの増加減、回転数の増加減が行われているのかについてご説明します。

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ギアの組み合わせによる回転数増加の仕組み

 上図のように歯数がそれぞれ32と16のギアを用意して、歯数が32の大きい方を入力側、歯数が16の小さい方を出力側とします。

 この時入力側のギアを回転させ、半周(16歯分)回転させます。するとこの時出力側のギアも16歯分回転することにより出力側のギアは1回転することになります。

 このように、入力側のギアより出力側のギアの歯数を少なくすること入力側より出力側のギアの方の回転数を大きくすることができます。また、逆に入力側より出力側のギアの歯数を多くすることで出力側のギアの回転数を小さくすることができます。

 

 出力側の回転数を大きくすることで、同時にタイヤの回転数を大きくすることができます。これによって高速道路などの高速走行時にエンジン回転数を低く抑えることができ、結果ガソリンの消費量を抑えることで省燃費化を行うことができます

 

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エンジンからタイヤまでのトルクの伝達の流れ

 

 さらに、入力側と出力側のギアの歯数を入れ替えると回転数が減少する代わりに、出力トルクは増加するようになります。

 

 

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ギアの組み合わせによるトルク変化の仕組み

 入力側のギアにエンジンから回転する力を与えると入力側のギアが回転を始めます。この時、入力側のギアは出力側のギアを接している箇所を通じてエンジンの力を出力側のギアに伝えようとします。

 実際にはこの時に伝達される力はギア同士の滑りなどによって少し損失が発生してしまいますが、ほぼ等しい大きさの力が出力側のギアに伝えられることになります。このとき、先ほどのトルクの説明より、力の大きさが等しければギアの半径の大きさによってトルクの大小関係が決まります。ギアが噛み合うためには歯の大きさが等しい必要があり、つまり歯数はギアの半径に比例します。

 よって、歯数の少ないギアから歯数の多いギアに力が伝えられるとき、半径の小さいギアから半径の大きいギアに力が伝えられることとほぼ同じと考えられます。伝えられる力の大きさはほぼ等しいので、半径の大きなギアの方がトルクが大きくなります。

 

 このように、入力側よりも出力側のギアの歯数が多いとトルクの増加を行うことができます。また、逆に入力側より出力側のギアの歯数が少ないとトルクの減少を行うことができます。

 以上のことをまとめると、入力側より出力側のギアの歯数が多いとトルクは増加する代わりに回転数が小さくなります。逆に入力がより出力側のギアの歯数が少ないとトルクが減少する代わりに回転数が大きくなります。

 

4.トルクを変化させる理由

 自動車の駆動にはトルクが非常に重要です。自動車を発進させたり加速させるには自動車に働く慣性モーメントが働いているため、それに抵抗するため大きなトルクが必要になります。また、エンジンは特性上大きなトルクを発生させるために回転数を高める必要があります。エンジンの回転数を高めるとガソリンの消費量が多くなってしまうため燃費が低下してしまいます。

 この問題を解消するため、トランスミッションによってエンジンの出力トルクをさらに増加させる減速増トルクを行うことで発進時に必要なトルクをより低いエンジン回転数で取得することができます。

 また逆にタイヤが高速回転する必要がある高速走行時などではトルクよりも回転数が必要であるため、低いエンジン回転数でもタイヤを高速回転できるように増速減トルクを行います。

 

 実際の自動車では発進や加速時にはより出力ギアの歯数が多い組み合わせである1速や2速のような低速ギアが選択され、逆にトルクが不要で大きな回転数が必要である高速走行時には出力ギアの歯数が少ない組み合わせである5速や6速、車種によっては8速や10速のような高速ギアが選択されます。

 

5.まとめ

 ここまでトランスミッションの役割やトルクの増加減、回転数の増加減についてご説明してきました。

 トランスミッションの役割はエンジンの回転数や出力トルクを走行状況によって増加減することです。またなぜそのようなことを行う必要があるのかというと、「省燃費」を実現するためになります。また、同時に運転時のドライバーの負担を減らすこともできます。

 自動車は発進や加速を行う時と、高速道路などを走行するときでは求められるトルクや回転数が異なります。発進や加速時には大きなトルクが必要で、逆に高速走行時にはタイヤの回転数を大きくするために出力ギアの回転数を大きくする必要があります。

 

 これらの走行状況によって自動車の出力を変化させるためにトランスミッションは用いられています。

 

最後に

ここまでブログを読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

当ブログでは、初心者エンジニアが個人的に勉強したことや趣味の話などをご紹介しております。

 

この記事を読んで、もし当ブログにご興味をお持ちいただけましたら是非また当ブログをご利用ください。

当ブログをご利用くださいまして誠にありがとうございます。

それでは皆様、本日もお疲れ様でした。